コザクラインコの繁殖
マメルリハの繁殖は文鳥や十姉妹、セキセイの繁殖に似て、数多くの雛を育ててくれます。また、成長した雛は団子のように寄り添い、その姿を見ているだけでも楽しいものです。繁殖の為の世話としては特に難しいことはありません。ただし、まったく産まない鳥がいるのも事実で、せっかく買った鳥が産んでくれないと悲しいものです。少しでも繁殖の確率を上げるには、若い健康なペアを入手することです。若いうちに親から十分な餌をもらい、その後の環境でも栄養が十分に与えられた鳥であれば、繁殖の可能性は飛躍的に上がると思います。
繁殖はあまり変化しない環境で成されることが望ましいでしょう。室内でも十分に繁殖しますが、可能であれば日の出と共に起きて、日が沈むと同時に寝ることが出来る環境であれば、さらに確率は高まると思います。ただし、鳥は適応能力も高いので、常識的な環境であれば、室内でも十分に繁殖します。ケージを移動せず、日常的な音の発生源が無い場所であれば、問題無いと思います。さらに言えば、テレビが付いている居間や大型インコのいる環境でも繁殖する例はあります。より良い環境を与えることは大事ですが、飼主の工夫や個体の性格が絡み合って繁殖するのかも知れません。
ペアリング
マメルリハを繁殖させたいと思ったときは、可能な限り生後半年以内に購入することを勧めます。親鳥として販売される場合、専門の大規模なブリーダであればストックしていますが、オークションなどでは繁殖しなかったので売りに出すというケースもあり、注意が必要です。購入時は生年と親の色を確認することが望ましいと考えます。繁殖環境と発情を迎えるまでの環境が同じであることが成功に導く要因ではないかと考えています。
ペアリングは比較的容易ですが、マメルリハは嘴で突きあいの喧嘩をよくします。これを喧嘩だと思って仲が悪いと判断されることが多くあります。生命に危険が及ぶような出血を伴う喧嘩をする場合は解消したほうが良いですが、そのときも隣り合わせでケージを置いて、しばらくしてからペアリングすると上手く行く場合があります。毎日寄り添って、どこから見ても仲が良いペアに見えてもまったく産卵しない場合もあります。1ペアだけを飼われている場合は途方にくれてしまいますが、マメルリハの繁殖に関しては、必ず成功するものだとは思わないことです。
繁殖はただ単に雛の顔を見たい方から、希望の色を出すことを目的とした繁殖、さらには新しい色を出すための繁殖、と人により様々ですが、正確に希望の色の鳥を出す為には遺伝を理解することが不可欠です。特に、スプリットに関しては隠れ因子ですので、無理解な中で繁殖された個体は信憑性がありません。正確な知識を身に付けることで、数少ない飼育数でも希望の色を入手出来ることにつながります。
発情
性成熟の早い個体では生後2ヶ月の後半から吐き戻し行動をし、相手がいる場合は交尾を誘うように背中に足をかけることもあります。しかしながら、オスメスが同一行動をとる場合もあり、正常な発情を迎えるのは生後半年を過ぎる頃になります。性成熟が進むと、オスはプププププと小さく鳴きながらメスに近寄っていきます。メスの発情は巣箱への出入り等でそれとわかりますが、確実に発情を知る行動とはなりません。
餌はエッグフードを通常の餌に加えて与え、これは育雛が完了するまで与え続けます。フィンチのように追い盛りする鳥ではないので、抱卵中の体力維持の為にも与え続けることが望ましいと考えます。
交尾
マメルリハの交尾はオスがプププププと小さく鳴きながら近づいて、片足をメスの背中に乗せ、同時にメスは交尾姿勢を取ります。前傾姿勢でメスを迎え入れやすい姿勢を保ちます。個体により異なりますが、完全にメスの背中に乗るオスもいますが、多くは片足をメスに乗せ、片足は止まり木を掴み、安定した姿勢で交尾します。時間帯に決まりは無く、どの時間帯でも見られます。時間は長いもので2分程度の場合もありますが、多くは30秒程度でしょう。
産卵
交尾後、メスのお腹が膨らみ始めます。多くの場合、認知出来てから1日~2日で初卵を産卵します。産卵は通常一日おきに1卵で、短径mm、長径mmの鶏卵よりも丸みのある白い卵を産みます。多くの個体は平均6個の産卵をしますが、個体により5個~7個である場合が多いようです。巣材を自分で用意する行動をあまり見ませんので、巣箱にはあらかじめ巣材を入れておくのがよろしいかと思います。産卵を順調に促す意味からも、巣箱は生後4ヶ月を過ぎた頃に設置しておくことが望ましいと考えます。
抱卵
メスの多くは第一卵から抱卵を始めます。稀に第2卵や第3卵からの場合もありますが、稀な例です。産卵から孵化までに要する日数は最短で19日、最長で23日でした。平均21日で孵化します。産卵の日の翌日から21日めに孵化することがほとんどです。気温に影響されるようで、夏は短く、冬は長くなる傾向にあります。マメルリハの体の大きさからすると、6個程度の抱卵が望ましいと考えます。8個、9個になると、常時、メスの体からはみ出す卵があり、中止卵を招く原因にもなります。従いまして、そのような場合は無精卵があれば取り出すことが望ましいでしょう。
中止卵が発生する要因として湿度不足があります。これは冬場によくあることですが、暖房器具などで乾燥状態が続くと孵化率下がりますので、そのように感じられたときは加湿器による調整を行うことが望ましいと考えます。
孵化
産卵の順に孵化が始まります。雛は嘴の先端にある卵歯と呼ばれる突起で卵殻を割ります。卵の中で体を水平に回転させながら、一周することで殻が割れます。卵の中から殻を割るときには少し小さな音がしますが、これを嘴打(はしうち)と言います。半日~1日程度かかる場合もありますが、一周割れた段階で体を大きく伸ばし、殻の蓋を開けるようにして雛は出てきます。殻を割り始めた頃はまだ卵黄が体内に収納されておらず、このときに発見して人が手を貸し、卵殻を割ってしまうと、ほとんどが死に至りますので、手を出してはいけません。
育雛
個体差あるのがこの子育てで、雛を齧り殺してしまうもの、餌を与えないものが極稀ではありますがいます。通常は子育て上手な親が多く、親は24時間体制で餌を与えています。孵化当初はオスがメスに餌を口移しで与え、半消化された液状の餌を雛に与えていますが、2週間も過ぎると雛の食欲に追いつかなくなり、メスも直接餌をそのうに溜め、巣箱に戻っていきます。ひなのそのうの中に粒餌を見ることが出来ます。親によっては、巣箱を覗かれることで卵を食べたり、雛を齧り殺したり、雛の羽を抜く場合もありますので注意が必要です。生後2週間も過ぎますと、通常のケージについている餌箱の量では不足します。朝晩に確認し、必ず満タンな状態を維持することが望ましいと思います。
この時期は日増しに巣箱内が雛の糞で汚れていきます。育雛中の巣箱の中は乾燥していることが望ましく、あまり小さい巣箱ですと雛の糞の水分が蒸発することなく巣箱内はドロドロの状態になり、カビの発生などにより雛に悪影響を与えますから、最低でもセキセイインコ用の巣箱とし、可能であればボタンインコ用にして、巣材を5cm以上入れることです。そうすることで雛が育つまでの間、乾燥状態が維持されることになります。
親が手乗りであれば巣材を途中で取り替えることも可能ですが、これは大変リスクがあり、子育ての中止や雛の攻撃につながることもあります。見極めが必要ですが、失敗することによる経験的判断しか無いものと思います。